こういうところが偏屈なのか

晴天。
今日も朝からあちこち飛び回って夕方にはすっかりお疲れモード。
しかし夜は移動する知り合いの送別会が友人の家であるのでその準備。
今回ボクは鮭のスモークを準備。
といっても皆さんが想像するいわゆるスモークサーモンなんて上等のものじゃないんですけど。
スモークサーモンは高温にならないようにしてスモークするけど、それは難しいので簡単にスモークしながら火を通す感じで。
半身の生鮭があったので、それに五島列島の塩と粗挽きの黒胡椒、ローズマリーとタイムを擦り込んで水気を取ってから、今回は力強いオークチップでスモーク。
魚には桜チップなんかが使われるみたいですけど、そこまでこだわらず常備しているオークチップで。
紅茶の葉っぱの出がらしとか、蜜柑の皮とかそんなものもチップ代わりになるのですが、今回はごくシンプルに前述のチップと砂糖少々。
香辛料の刺激的な香りとスモークのムズムズするような香りとのブレンドが美味し。
美味しい店に食べに行くのも楽しいけど、やっぱり手作りもまたいいね。


ところである職人さんのインタビューを読んでいて、個人的にものすごく共感。
何の職人さんの話だか忘れちゃったのですが、その人の親方は「看板を掲げないと仕事が来ないようじゃろくなもんじゃない」というのが口癖だったそうで、実際看板など掲げていなかったそうです。
そういうのは商売人がする事だそうで、職人がやるもんじゃないと。(これは、もしかしたら昔の士農工商の名残があって、やや差別的な意識を持っていた故の発言なのかもしれませんが、看板云々に関しては昔はそういうものだったそうです)
で、インタビューを受けていた職人さんはさすがに看板は掲げているそうですが(笑)。
それでお客さんの中には、その人の仕事が気に入って知り合いに紹介しておいたから連絡を取ってみなさいという方が時々いらっしゃるそうです。
親切心から言ってくださるのですが、それが非常に困るとのこと。
看板掲げる事ですら恥ずべき事と教えられた職人が、自分の方から仕事の営業のために連絡するなど、とてもじゃないけどはしたなくてできないことだと言うのです。
その職人の仕事を知って心底やって欲しいという人が足を運んでくれるのが本来の職人の姿で、お金は慎ましく暮らせる分だけ得られればいいのだとも言ってました。
昔ならば、気が向かなければ殿様にでも断れるのが職人というもので、威張ってる訳じゃないけど商売人のまねをしてたんじゃ胸を張って職人とは言えないと。
もっとも紹介してくださったのはそのお客さんの好意だという事は十分分かるので、その職人さんもむげに断る訳にもいかずに何とも困っているうちに、そのお客さんを怒らせちゃって大変なことになったこともあるんだとか。
きっと親方なら客だろうとかまわずカンカンに怒っちゃうかもしれませんね。
それとも昔の人は客の方もその辺りのモラルをちゃんと分かっていて、そういう事をする人はいなかったのか。
今の世の中は経済至上主義が行き渡っていて、こっちから営業かけるという西洋式の商売人スタイルが当たり前のこと。
この時代に看板掲げずなんていう店は決して主流にはならないですね。
そういう料亭も実際にあるようですけど。
ボクも今の世の中にはトコトン向いてない人間ってことだな。
こういうところが偏屈なのだろうなぁ。


変わり者といえば、実際の生活も基本的に正月を祝ったりする習慣はないのですが、年賀状も出す習慣がないので、お世話になった皆さん、どうぞご無礼をお許しください。
なので当然ながら年賀状をいただかなくても、ボク自身は寂しいとか礼儀知らずな奴め、なんてこと一切思いませんのでお気遣い無く。